ブルー・サージ

ボストン・ジャズの代表格はチャリー・マリアーノと言うことになるのだろうか。むしろ僕は本作品の主人公サージ・チャロフのような気がしてならない。

ボストン・ジャズと、ウェスト・コースト・ジャズをごっちゃにするファンも多い。ボストン・ジャズはウェスト・コースト・ジャズに比べ音楽が重めである。

チャロフは33歳の若さで癌に侵され亡くなるが、残したリーダー作はそう多くはない。

本作品においても分かるように黒人ミュージシャンをバックにワンホーンで演奏したアルバムはこの1枚だけだ。 続きを読む ブルー・サージ

フィル・ウッズ&ヨーロピアン・リズム・マシーン

ロバート・ケネディの事件があったのは1968年6月5日のことである。フィル・ウッズは当時フランスに居を構えており、活動の場もパリ中心であった。

ケネディと身近な存在にあったウッズは悲しみと絶望を味わう。そして出来上がった曲が冒頭の「若かりし日」である。

ウッズの怒りのアルトが火を噴く。物悲しさが切々と伝わってくるのだから、ウッズの表現力には脱帽せざるをえない。

ウッズと言えばチャーリー・パーカー直系のアルト奏者だが、このアルバムの奏法は時代にそくした吹奏と言えよう。 続きを読む フィル・ウッズ&ヨーロピアン・リズム・マシーン

バルネ・ウィラン

バルネ・ウィランはフランスのテナー・サックス奏者だが、1950年後期に頭角をあらわしてきた、いかにも白人らしいスタイルで演奏するのが特徴のテナー・マンである。

【バルネ】はケニー・ドーハムとコンビを組んだパリのライブ録音だが、1959年の時代背景を考えると、ハード・バップがパリで好まれて聴かれていたのが分かる。

1959年と言えばマイルス・デイビスのモードの誕生を皮切りにニューヨークではファンキーブーム真っ只中である。

この時期は渡欧するミュージシャンが多く、パリではクラブの仕事に事欠かないと言う都市伝説的なものがあったが、それはあきらかに都市伝説で、そうそうクラブの仕事の依頼がある訳でもなかった。 続きを読む バルネ・ウィラン

グラウンド・エンカウンター

ジョン・ルイスはどうも好きになれないミュージシャンの1人である。MJQでの室内楽的音楽には興味もわかない。

しかし彼らが奏でる「朝日の如くさわやかに」の名演には唸ってしまう。だからと言ってMJQファンにはならないが、「朝日の~」ようなひねりがほしい。

本作品はジョン・ルイス名義のアルバムだが、テナー・サックスのビル・パーキンスが参加していたので購入した。しかしである。

このアルバムでジョン・ルイス作曲の「2度東3度西」と言う名曲を発見してしまったのである。例の如くCD棚の奥底に眠っていた1枚だ。 続きを読む グラウンド・エンカウンター

ザッツ・ザ・ウェイ・イット・イズ

MJQ名義以外でのミルト・ジャクソンはブルース・フィーリングに溢れている。あきらかにこちらの方が素のジャクソンと言えよう。

本作品は盟友レイ・ブラウンとの双頭のコンビによるものだが、レイ・ブラウンをフューチャーした「フランキー・アンド・ジョニー」が一つ目の聴き所である。

ブラウンのベースがギシギシ唸りながらテーマを奏でる。

まさに名手の名にふさわしい演奏と言えよう。テディ・エドワーズ(ts)をはさみジャクソンの出番がくると、そのビブラフォーンの音色に惚れ惚れしてしまう。 続きを読む ザッツ・ザ・ウェイ・イット・イズ