ハンプトン・ホース,VOL・2:ザ・トリオ

ハンプトン・ホースはウエスト・コーストを代表するピアニストだが、本作を含め1950年代中期に吹き込んだピアノ・トリオ3部作は有名である。

本作はその2枚目にあたるアルバムだが、出来栄えは悪くないだろう。

個人的にはVOL・3を勧めたい所だが「あなたと夜と音楽と」が冒頭にくる本作は、やはり捨てがたい。

全盛期が1949年~52年にかけてと短いように感じるかもしれないが、その時期があまりにも出来が良すぎたのだ。 続きを読む ハンプトン・ホース,VOL・2:ザ・トリオ

ダスティ・ブルー

ハワード・マギーはビバップ時代に活躍したトランペッターだが50年代に入るとウエスト・コースト、ハード・バップと次から次へとビバッパーを飲み込んでいった。

50年代は2枚のアルバムをベツレへム・レーベルに残している。

しかし60年代に入ると俄かに状況が変わってくる。本作を含め数々の名盤が残されている。

いや、知られざる名盤とも言っておこうか。本作品の中でまず聴いてほしいのが2曲目の「サウンド・オブ・ミュージック」である。

ご存知ミュージカル、サウンド・オブ・ミュージックのテーマ曲である。マギーはここでマジックを見せる。 続きを読む ダスティ・ブルー

バラード

言わずと知れたジョン・コルトレーンの名盤である。ジャズファンでこのアルバムを所有していない人は皆無に近いだろう。

何故ならあの甲高いテナーが、低く落ち着いているからだ。

コルトレーン・ファンは、コルトレーンを嫌う理由が分からないだろうが、そういつも「マイ・フェバリット・シングス」ばかりでは、つまらないではないか。

そう言ってしまえば語弊があるかもしれないが、いわゆるフリー・ジャズなるものが僕には理解できない。絵画で言えばピカソのように分からない。

しかし本作は安心して聴くことができる。全面バラードで初心者にはきついかもしれないが、いつかこの良さを理解できる時が必ず来るだろう。 続きを読む バラード

ストレート・アヘッド

JRモンテローズは現在、生存しているのかさえ分からぬほど、放浪に暮れた生涯だった。1959年録音の本作はブルーノート盤に並び名盤であることに間違いはない。

何故、モンテローズは一処(ひとどころ)に落ち着かずに、クラブを転々と渡り歩いたのだろう。

モンテローズの名前を知らしめたのが、チャールス・ミンガスの【直立猿人】でのプレイである。

独特の奏法でレガート・プレイではなく、スタッカート的スタイルのインプロビゼーションを得意とする。本作の表題「ストレート・アヘッド」が1曲目に登場する。

ピート・ラロカ(ds)とのフォーバス、トゥーバス、ワンバスはこのアルバムのハイライトでもあり白熱したプレイが聴かれる。 続きを読む ストレート・アヘッド

ピーシス・オブ・シルヴァー

ホレス・シルヴァーのピアノはいたってシンプルであり、そのバッキングの良さにも定評がある。また作曲にも長け(たけ)本作の「セニョール・ブルース」は有名である。

シルヴァーと言えば初代ジャズ・メッセンジャーズのピアニストとしても名を残しているが、どちらかと言えば、ファンキーの名手としての方が親しみがあるだろう。

本アルバムもほとんどがシルヴァーの自作によるものである。

フロントにドナルド・バード(tp)ハンク・モブレー(ts)とブルーノートお馴染みの顔だ。シルヴァーはブルーノート初リーダー作であり、相当のプレッシャーがあったに違いない。

シルヴァーはスタン・ゲッツによってみいだされ、1950年録音の「ルースト・セッション」に参加している。 続きを読む ピーシス・オブ・シルヴァー