ケニー・ドーハムを聴こう01

ここまで、モダン・ジャズの創設者、チャーリー・パーカー(もちろんパーカーひとりで作り上げたものではない)、マイルス・デイビス、リー・モーガンなどサックス、トランペッターを中心に語ってきたが、ここからもトランペッターの話しを中心にしていこう。

ケニー・ドーハムは演奏、作曲共に素晴らしいミュージシャンである。しかし今いちジャズの入門書などで取り上げられない。

取り上げられたとしても、「静かなるケニー」の「マイ・アイデアル」くらいなもので、他のアルバムはほとんど紹介されない。幸薄いミュージシャンである。

かく言う僕も、ケニー・ドーハムのアルバム、サイドメンで入っているアルバムなどは極力避けてきたひとりだ。

どうも音に力がない。トランペットと言うより、ラッパと言う言葉があてはまるような気がしてならなかった。言ってしまえば聴かず嫌いで、ドーハムを鼻から舐めていたのだ。 続きを読む ケニー・ドーハムを聴こう01

マイルスよりもリー・モーガン?

マイルス・デイビスはモード奏法に入る前のアルバムがお勧めだ。

中でも「マイルス~ザ・ニュー・マイルス・デイビス・クインテット」は、マイルスの懐刀のミュート・トランペットがフューチャーされ、マイルスと言えば、ミュートと言うイメージを聴衆に焼き付けた1枚である。

ジョン・コルトレーン(ts)、レット・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)による黄金のクインテットの誕生だ。

1955年、時代はハードバップ全盛期、このアルバムはその当時としては緩やかな、春を感じさせる匂いがする1枚に仕上がっている。

ハードバップから程遠いマイルスの歌心溢れるミュート・トランペットが全面に溢れ、くつろげる仕上がりになっている。 続きを読む マイルスよりもリー・モーガン?

マイルス・デイビスは果たしてジャズの帝王であったか?

マイルス・デイビスはジャズシーンに革命を起こしてきた偉大なミュージシャンだが、その革命がジャズを面白みに欠けさせたのも、否めないひとつの事実である。

1949年の「クールの誕生」は革新的ではないが、白人ミュージシャンにスポットが当たり、恩恵を受けたミュージシャンも多く、その後ウェスト・コースト・ジャズの流行に火がついたのも事実である。

お陰でイースト・コーストのジャズシーンは不況で黒人ミュージシャンはジャズだけでは飯が食えなくなり、他に仕事を探さなければならないほどの不況ぶりであった。

ウエスト・コーストでは白人を中心としたクール・ジャズが流行を呼び、中でもジェリー・マリガン、アート・ペッパー、チェット・ベイカーなどが人気を博した。

しかしこれは一時的な現象で、ウェスト・コースト・ジャズが流行ったのは1952年~1955年くらいと短命である。 続きを読む マイルス・デイビスは果たしてジャズの帝王であったか?

チャーリー・パーカーならこの一枚

チャーリー・パーカーは言わずと知れたモダン・ジャズの父である。パーカーは1940年代にビバップなる音楽を生み出した。

それまでのスイングやディキシースタイルとは違い、ミュージシャンがアドリブを重視したスタイルがビバップである。

奏法などはここでは多くは語らないが、簡単に説明すると、スイング・ジャズなどが多くを取り上げたスタンダード中心の楽曲取り上げるのは稀で、ほとんどがアドリブのために、スタンダードにコードを乗せた自作曲が中心であるである。

初心者には全く不向きなビバップだが、ジャズに聴きなれてくると、ジャズを探求したくなる。それはどの趣味の分野でも同じだが、ビバップも避けては通れない道なのだ。

その代表格がパーカーであるが、パーカーの作り出す楽曲は魅力的で、今でも多くのミュージシャンに取り上げられている。しかし、これも初心者には理解しがたいだろう。 続きを読む チャーリー・パーカーならこの一枚

ジャズの入り口を間違うべからず

ジャズを聴こうと言う稀な方に、ジャズを継続して聴いて頂きたいと思い筆を執った次第である。

ジャズは聴いて、いきなりいい曲だと思う楽曲は少ない。また、あったとしても、それは流行でしかないものだ。

ジャズとは何回、何十回、何百回と聴きこなさなければ、その曲のよさが中々伝わってこない音楽なのである。

先ず初心者が最初につまづくのがアドリブである。アドリブなくしてジャズは成り立たないが、僕らはプレイヤーではないのだから、アドリブは無視してもいいだろう。

プレイヤーを目指す人達なら話は違ってくるが、ジャズを趣味で楽しみたいと言う方には、アドリブは重荷であり、故にジャズの入門書を見て、大名盤を聴いて、悲鳴を上げて逃げ出す人達が多い。 続きを読む ジャズの入り口を間違うべからず