マイルス・デイビスの調べ02

「ラウンド・アバウト・ミッド・ナイト」はセロニアス・モンクの代表作だが、マイルス・デイビスの「ラウンド・アバウト・ミッド・ナイト」の方が有名になってしまったのは、モンクにとっては手痛い話しである。

しかしモンクの「ラウンド・アバウト・ミッド・ナイト」にはモンクなりの良さが充分にあり、文句をつけるなと、駄洒落のひとつも言いたくなるのもしょうがない(笑)。

「ラウンド・アバウト・ミッド・ナイト」は1956年の録音でジョン・コルトレーンも自身の吹奏をしている。

2曲目は1955年の録音なのでどうしてもソニー・ロリンズ的である(笑)。冒頭の「ラウンド・アバウト・ミッド・ナイト」はマイルスの名演と言えよう。

名盤であることを予期するような吹き方をしているではないか。コルトレーンも充分に持ち味を出している。 続きを読む マイルス・デイビスの調べ02

マイルス・デイビスの調べ01

1955年マイルス・デイビスに二つの事件が起こった。一つはニューマイルス・デイビス・クインテットの結成。

もう一つはミュート・トランペットによる新しい可能性を発見したことである。それらが凝縮されたアルバムが「マイルス~ザ・ニュー・マイルス・デイビス・クインテット」だ。

時代はハードバップ期に入っており、マイルスにとっては挑戦だったのかもしれない。何故なら無名のテナーサックス奏者ジョン・コルトレーンを起用したからだ。

ここでマイルスはコルトレーンに、ソニー・ロリンズのような太く緩やかなフレーズを吹かせている。

コルトレーンのアドリブ部を聴くと一目瞭然である。特に1曲目の「ジャスト・スクイーズ・ミー」を聴けばよく分かる。 続きを読む マイルス・デイビスの調べ01

スタン・ゲッツとは何者か?02

スタン・ゲッツをまず聴くなら「プレイズ」であろう。1曲を除いて全てスタンダードで、とても聴きやすく初心者向けである。

1952年の録音で、まだクールな部分もあるが、1950年録音の「スタンゲッツ・カルテット」よりは音に丸みがあり親しみやすい。

ゲッツの良さが全面にでたアルバムであるのも幸いしている。

ゲッツは気分でテナーを吹く。聴く側にとっては迷惑な話しだが、乗ったときのゲッツはジョン・コルトレーンではないが、神がかり的なフレーズを連発する。

これぞゲッツと言うフレーズはないが、時代に即したフレーズを吹くのがゲッツだ。ゲッツが自分のスタイルを持たないのは、個性がないからではない。気分屋なだけである。 続きを読む スタン・ゲッツとは何者か?02

スタン・ゲッツとは何者か?01

スタン・ゲッツはクール・ジャズの代表格とされているが、それを決定付けたのは、1947年、ウディ・ハーマン・セカンド・ハードでの「アーリー・オータム」演奏であろう。

しかしそれ以前ゲッツはクールではなかった。音には力強さがあり、ブローまでしていたのだ。何故そんな彼がクール・ジャズの代表格になりえたのか?

ゲッツと言う男はもしかすると、マイルス・デイビスよりも早く、時代を先取りしていた可能性大である。

1946年クロード・ソーンヒル楽団による、クール・バップなるものが誕生する。

従来のビックバンドと違い、パーカーらのバップナンバーを取り入れることによって、他の楽団と差別化を計り成功した。 続きを読む スタン・ゲッツとは何者か?01

ジャズ初心者にはピアノ・トリオ11

ミシェル・サダビィと言うピアニストをご存知だろうか。初心者にはぜひ聴いていただきたい、ピアニストの1人である。

主に1950年代からパリで活動を続けてきたが、1970年パリ録音による初のピアノ・トリオによるリーダー作「ブルー・サンセット」を録音する。

その7年後ニューヨークで録音されたのが、本作「イン・ニューヨーク」である。サダビィにとっては4作目の作品で題名が示す通り初のニューヨーク録音と言うことになる。

サダビィは自作曲が高く評価されていて、このアルバムもほとんどがサダビィの手によるものだ。

「イン・ニューヨーク」はどちらかと言えば辛口だが、サダビィはどちらかと言えば、甘口な方なので、辛口が好みの方には聴きやすい内容になっている。 続きを読む ジャズ初心者にはピアノ・トリオ11