コールマン・ホーキンス晩年の名作である。ライブ録音の割には音はクリアである。
ホーキンスの進化し続ける姿勢がカッコいい。スイング・テナーを吹かせたら、バッパー達もいちころもないだろう。
1曲目「オール・ザ・シングス・ユー・アー」の吹きっぷりはどうだ。音のぶっとさは、ソニー・ロリンズもかなわないかもしれない。
そして問題が2曲目の「ジェリコの戦い」である。
軽快なリズムに乗ってテナーを鳴らすホーキンス、テナーがテーマを奏で終えたあとの、雄たけびにも似たホーキンスの音は、ジョン・コルトレーンをしっかり視野にいれている。
それに続くトミー・フラナガンのピアノの鋭さと言ったら、尖ったナイフのようだ。
メイジャー・ホリーのピチカート・ベースは、スラム・スチュワートがあみだした奏法で、アルコで1オクターブ上の音でハミングする奏法で、スチュワートには及ばないが、中々のプレイを聴かせてくれる。
そして大御所ホーキンスの登場である。この数分間のソロの素晴らしさは例えようのない演奏である。やはりコルトレーンの背中を見ている。
ホーキンスは飽くことなく、前進してゆく。