ホレス・シルヴァーのピアノはいたってシンプルであり、そのバッキングの良さにも定評がある。また作曲にも長け(たけ)本作の「セニョール・ブルース」は有名である。
シルヴァーと言えば初代ジャズ・メッセンジャーズのピアニストとしても名を残しているが、どちらかと言えば、ファンキーの名手としての方が親しみがあるだろう。
本アルバムもほとんどがシルヴァーの自作によるものである。
フロントにドナルド・バード(tp)ハンク・モブレー(ts)とブルーノートお馴染みの顔だ。シルヴァーはブルーノート初リーダー作であり、相当のプレッシャーがあったに違いない。
シルヴァーはスタン・ゲッツによってみいだされ、1950年録音の「ルースト・セッション」に参加している。
本作は56年の録音になるが、既にランキームーブメントが起きようとしている時代である。
クリフォード・ブラウンの死。リー・モーガンの登場。【ソニー・クラーク・トリオ】が録音されたのもこの年である。
まさに激動の時代であった。これらのアーティストが、ファンキー時代を作り上げていった。それにしてもシルヴァーのピアノはシンプルである。