マイルス・デイビスはモード奏法に入る前のアルバムがお勧めだ。
中でも「マイルス~ザ・ニュー・マイルス・デイビス・クインテット」は、マイルスの懐刀のミュート・トランペットがフューチャーされ、マイルスと言えば、ミュートと言うイメージを聴衆に焼き付けた1枚である。
ジョン・コルトレーン(ts)、レット・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)による黄金のクインテットの誕生だ。
1955年、時代はハードバップ全盛期、このアルバムはその当時としては緩やかな、春を感じさせる匂いがする1枚に仕上がっている。
ハードバップから程遠いマイルスの歌心溢れるミュート・トランペットが全面に溢れ、くつろげる仕上がりになっている。
この時期のマイルスが一番好きだ。歌うと言うよりは、語るようにトランペットを吹くのがこの時期のマイルスの特徴である。
「マイルス~ザ・ニュー・マイルス・デイビス・クインテット」は手ごろな価格で手に入るので、初心者の方にはぜひ聴いてもらいたい1枚だ。
1955年頃はハードバップが盛んに演奏され、中でもマックス・ローチ(ds)クリフォード・ブラウン(tp)の双頭のコンビが人気を博していた。
しかし活動わずか2年程で、このクインテットは幕を閉じる。ブラウンが自動車事故でこの世を去ったのだ。1956年、若干25歳の若さであった。
そこで台頭してきたのが、18歳のリー・モーガンである。モーガンはとかくブラウンの後継者みたいに言われるが、全く持ってモーガンはブラウンとは違う。
1956年サヴォイ盤「イントロ・ドューシング」を聴けば若干18歳のモーガンの才能が既に花開いているのが分かる。