「ジャズ入門」カテゴリーアーカイブ

ジャズ初心者にはピアノ・トリオ03

レス・マッキャンと言うピアノ弾きがいる。ウェスト・コースト・ジャズの流行からだいぶ後(のち)になるが、名門レーベル、パシフィックの社長も勤めたこともあり、パシフィックレーベルからたくさんのアルバムが発売されている。

ピアノスタイルはソウルである。「レス・マッキャン・イン・サンフランシスコ」と言うライブ音源のアルバムがある。

1曲目から乗りのいいマッキャンのピアノが響く。聴いているだけで自然と身体が揺れてくるのが分かる。

初心者には4番の「アイ・アム・イン・ラヴ」をぜひ聴いていただきたい。コール・ポーターの手によるものだが、とてもロマンチックで乗りがいい。

コール・ポーターはアメリカの作曲家で数々のミュージカル音楽を手掛けてきた、いわばアメリカンスタンダードの代表格だ。 続きを読む ジャズ初心者にはピアノ・トリオ03

ジャズ初心者にはピアノ・トリオ04

ジャズ・ピアノにリリシズムを持ち込んだのはビル・エヴァンスだが、そのエヴァンスに深く感銘を受け、自らのスタイルを築き上げたのが、スティーブ・キューンである。

キューンのピアノの特徴は、品のよさと白人らしいクールさにある。バックをドラムのピート・ラ・ロカ、ベースのスティーブ・スワロウが、ガッチリ固めている。

このトリオのよさはキューンのピアノのセンスもさることながら、ピート・ラ・ロカのドラミングの大胆さにある。

特にシンバルワークに長け(たけ)60年代を代表するドラマーの1人でもある。

1966年録音の「スティーブ・キューン・トリオ」をここでは紹介したい。1曲目の「アイダ・ルピノ」は冒頭にポール・へインの詩を、キューンが口ずさみテーマに入る。 続きを読む ジャズ初心者にはピアノ・トリオ04

ジャズ初心者にはピアノ・トリオ05

ファンキーの代名詞とも言えるウイントン・ケリーの「ケリー・ブルー」。

冒頭のポール・チェンバースのベースを弾く(はじく)音が印象的だ。その4小節が終わると、テーマに入る。

このテーマがファンキーなフレーズの連続で、ソニー・クラークのようなスマートさはないが、泥臭にまみれた作業衣を洗濯したようなさっぱり感があるのが特徴だ。

「ケリー・ブルー」は小コンボによる演奏で、ピアノ・トリオではないが、「ケリー・ブルー」のアルバムそのものは、ピアノ・トリオ中心に入っている。

1曲目が印象的なために、2曲目のピアノ・トリオによる「朝日のようにさわやかに」が際立たないのが残念であるが、それだけ「ケリー・ブルー」の演奏がすごすぎるのだ。 続きを読む ジャズ初心者にはピアノ・トリオ05

ジャズ初心者にはピアノ・トリオ06

モダン・ジャズ・ピアノの創始者バド・パウエルの全盛期は1947年~51年あたりまでか。

その後は体調の不良もあり指は重く、思うようにピアノを弾けないのがもどかしそうだ。しかし僕にはかえって1950年代中期のパウエルが好きだ。

「ムーズ」はヴァーヴレーベルに1954年~55年にかけて録音されたアルバムだが、音が重苦しく、かなりの力を入れて鍵盤を叩いている感じだ。

弾いているという感覚ではない。力が入らずピアノを上手く操れないのだ。ミスタッチも多いが、だからと言ってパウエルが急にピアノが下手になったわけではない。

神の手と言われた、ルーストセッションからは考えられないレベルだが、それでもパウエルのジャズにかける思いがしみじみと伝わってくる。 続きを読む ジャズ初心者にはピアノ・トリオ06