Categories: ジャズの歴史

リー・コニッツ的クール

リー・コニッツは元々がクールな音だ。スタン・ゲッツのようにスタイルで音を変えていくような人ではない。

コニッツの「サブコンシャス・リー」はプレステージ第一弾を飾るアルバムとなった。

このアルバムのすごいところは、音に表情が全くなく、機械的な演奏に徹底して従事している。クール・ジャズとはその構成、編曲に重きを置く。

特にレニー・トリスターノがピアノで参加した1~5番はみなぎるような緊張感である。この冷蔵庫に物を詰めていくような作業の何が楽しいのか理解に苦しむ。

トリスターノが抜けた6番の〈マシュマロウ〉はどうだ。盟友ウォーン・マーシュとの息はピッタリだ。アドリブもなぜか耳に心地よい。

トリスターノが居ないとこんなにも違うものかと、トリスターノの権力にひれ伏すしかない、コニッツ等は己のインプロビゼーションさえも押し殺してしまう。

マーシュの独特な音が好きだが、トリスターノに感化されている部分は伺えない。このアルバムのハイライトは6~9番のマーシュとのクインテットと言えよう。

10番の〈レベッカ〉で、また冷蔵庫の物詰め作業が再開する。〈ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド〉など聴いたこともない旋律だ。

ビ・バップが完成してからまだ4年も経たないうちからクール・ジャズが流行の兆しを見せ始める。

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