Categories: ジャズの歴史

レニー・トリスタートを聴いてはみたが

レニー・トリスターノ。とっつきにくい人である。トリスターノもまたビ・バップとは縁のない人である。

1946年キーノートレーベルの吹き込みは、歴史的に見てもそっぽを向かれるアルバムだ。

しかしこの時期のトリスターノは既に、自分の音楽的論理に基づく、左手の和音に、そぐわない右手のメロディーライン。

不思議な音だ。そしてこのトリオは既にインター・プレイを繰り広げている。ギターとピアノの絡み具合は絶妙である。

セロニアス・モンクのようなあきらかな不協和音は使わない。ギターとの関係を重要視しているのが分かる。

この時代のピアノ・トリオの主役はあくまでもピアノであってギターやベースではない。トリスターノの場合、むしろギターに一歩譲歩している感さえ受けられる。

それにしても、トリスターノのピアノはスリリングである。

ギターのビリー・バウアーはチャーリー・クリスチャン直結のギターだが、ブルース・フィーリングがないところが、クリスチャンと違う所か。

ビ・バップを追求して新たな音楽性を求めたのは、マイルス・デイビスである。しかし既にクールは始まっていた。

トリスターノをクールの枠に収めるのには抵抗があるが、この時期にクールなピアニストと言えば=トリスターノと言う図式が既に出来上がっていた。

この後、リー・コニッツ、ウォーン・マーシュを従えて、トリスターノ一派なるものが誕生する。

初心者にはあまりお薦めできないが、お薦めできないと言うより、僕自身が、トリスターノを理解できてないのだから。

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