クールの先駆けとなったのは、ウディ・ハーマンのセカンド・ハードの〈アーリー・オータム〉でののソロが始まりとされている。
1947年のことだ。ゲッツがクールを編みだした訳ではないが、クールを決定付けたのはゲッツであることに間違いはない。
ゲッツと言う男が、いかに流行を先取って、演奏スタイルを変えてきたかが後々のアルバムを聴けば分かることだが、それらを踏まえてゲッツと言う男の文豪ぶりが伺える。
確かに1950年プレステージレーベルから発売された「スタン・ゲッツ・カルテット」は名盤である。
しかし初心者が聴いて果たしてこのアルバムの良さが分かるかは疑問だが、ゲッツ・ファンのリスナーにはかけがいのない1枚と言ってもいいだろう。
1曲目に〈ゼアズ・ア・スモール・ホテル〉をやや早めのテンポで演奏している。
これはクロード・ソーンヒルに対する敬意なのか、嫌がらせなのかは分からないが、ソーンヒルのそれに対してゲッツのそれはテンポが速い。
ゲッツはワン・ホーン・ジャズの立役者でもある。ゲッツには天才と言う言葉よりも、才能と言う言葉のほうが適切であるような気がしてならない。
60年代初めボサノバに目をつけるあたりは、何よりも先見の明がある証拠だ。
〈枯葉〉にしろ、〈懐かしのストックホルム〉にしろ、ゲッツが最初に、アメリカに持ち込んだのである。