1970年代に入るとフュージョンが大手を振って歩いて行くが、僕の私感ではフュージョンはジャズとは呼びがたい。電気楽器を用いたジャズなどこの世に存在する訳がない。
故に1970年代の黄金期のジャズメン達は何をしていたのか?それはもちろん、アコースティック・ジャズをしていたのだ。
そして1970年代の新風といったらピアノ・ソロ以外には考え付かない。
1970年代は密かにピアノ・ソロのムーヴメントが起こっていた。その火付け役は、やはりキース・ジャレットであろう。
1971年に発表した「フェイシング・ユー」はキースの初のピアノ・ソロアルバムだが、これは、はっきり言ってすごい。
同じ時期にソロ・ピアノアルバム発表した、チック・コリアのソロも素晴らしいが、キースはそれを数段も上回っている。
キースのそれには、根底にラヴェルの影響が見え隠れするが、75年は発表の「ケルン・コンサート」では、しっかりキースのピアノ・スタイルになっている。
1970年代は表向きはフュージョン、裏を見れば、アコースティックなジャズが地道に行われていた。
そして1980年代の初頭に久々の大物を思わせる、トランペッター、ウイントン・マルサリスが彗星のように現れる。
マルサリスは、ジャズ・メッセンジャーズで活躍し、僕もその当時のプレイをLD(古い)で鑑賞したことがある。荒削りだが、かえって其処が若々しくて良かった。
1983年にはキースがスタンダーズを結成する。もう1度、スタンダードを見直そうと言う動きである。
それにマルサリスが続き、ここに新伝承派なるものが誕生する。さらに1990年代、現代は何でもありの時代になってしまった。