歴史を代表する、ジャズトランペッター、クリフォード・ブラウンが自動車事故でこの世を去ったのは1956年6月のことだった。
その突然の死にジャズ界は揺らいだ。マイルス・デイビスはブラウンの出現により薬から手を退(ひ)いたとも言われている。
それほどクリフォード・ブラウンの存在は大きかった。
ブラウン死後、ジャズ界はブラウンを凌ぐスターを求めた。そこに登場したのがリー・モーガンである。
モーガンの出現によりジャズ界が活気づいたのは、確かだが、ブラウンとモーガンはあきらかに奏法に違いがあった。
評論家はブラウンの担い手と大きく取り上げたが、モーガンにしてみれば実に迷惑な話しである。
評論家という者はどうしても過去のジャズメンと現在のジャズメンを重ね合わせる悪い癖がある。ジャズメンの個性をもっと尊重するべきである。
1957年リー・モーガンのブルーノート盤「リー・モーガンVol・ 3」の中でベニー・ゴルソンの手による「クリフォードの思い出が吹き込まれる。
まさに名曲中の名曲である。全面モーガンをフューチャリングして吹き込まれているが、モーガンの堂々とした吹きっぷりには驚きである。ブラウンを意識して吹いてないところがモーガンらしい。
ファンという者は無い物ねだりをするものでクリフォード・ブラウンの吹く「クリフォードの思い出」を聴いてみたいと言う言葉をよく耳にする(笑)。