デクスター・ゴードンは40年代後半、ワーデル・グレイとのテナー・バトルで注目を集めた、テナー・サックスのビバッパーだが、そのスタイルは後年ソニー・ロリンズを中心とするテナー・マンに多大なる影響を与えた。
そのスタイルはいい意味で純朴でストレートに吹く太い音は、コールマン・ホーキンスの影響が見て取れる。
そのゴートンが50年代に入るとぱったりと仕事が入らなくなる。おそらく薬の関係と思われるが、50年~60年にかけて3枚のアルバムしか残していないのは以外である。
しかし思わしくない体調で吹き込んだ、本作や【デクスター・ブロウズ・ホット・アンド・クール】のバラット・プレイには光るものがある。
僕の好きな「ダーン・ザット・ドリーム」、「ニューヨークの秋」などは感動を呼ぶ。
【デクスター・ブロウズ・ホット・アンド・クール】での「クライ・ミー・ア・リバー」はあまりにも有名な名演だが、本作も負けてはいない。
「ニューヨークの秋」の情緒たっぷりな演奏ぶりはどうだろう。
物静かな秋を感じるではないか。初めの頃はこの良さが分からず、CD棚の奥にしまい込んでいたが、久しぶりに聴いてみたら、これが中々よいのだ。
名盤は寝かせてから聴くのが極意である。