ウォルター・ビショップJRと言えばチャーリー・パーカー・クインテットで、ちまちまとしたピアノを弾いているイメージが強いが、それを払拭したアルバムが「スピーク・ロウ」である。
特にパーカー亡き後に発売された「プレイズ・コール・ポーター」でのJRの演奏はひどい。
JRのお陰であのアルバムの価値が半減したと言ってもいい。一般的に脚光を浴びる人ではないのだ。
しかしこの「スピーク・ロウ」は違う。次から次へとフレーズが湧き出る泉のようだ。いったい彼をここまでのインプロバイザーに仕立て上げたのは誰か?
ベースのジミー・ギャリソンである。ギャリソンのギシギシと唸るベースに、JRのインスピレーションが活動を活発化させたのだ。
1曲目からJRの予想外のインプロビゼーションが発揮される。テーマを弾くJRのピアノタッチも素晴らしい。
「サムタイム・アイム・ハッピー」がこれほど重厚に弾かれているのも特筆すべきである。2曲目も「サムタイム・アイム・ハッピー」の別トラックである。
3,4曲目の「ブルース・イン・ザ・クロゼット」も信じられないフレーズが顔を覗かせビックリさせられる。
初心者には6曲目の「アロン・トゥギャザー」をぜひ聴いてもらいたい。その重厚さに感動を覚えたら、たちまちジャズの虜になること間違いなしだ。