ケニー・ドーハムのブルーノート盤第一作が吹き込まれたのが1955年1月のことである。80年代のクラブシーンを揺るがした「アフロ・キューバン」がそれだ。
前述したが「アフロ・キューバン」はダンス・ミュージックにもなる大傑作である。その流れでアシッド・ジャズが誕生したのだから、歴史的名盤と言ってもいい。
今なおクラブシーンにおいては、ジャズじゃなければ踊れないと言う若者も多い。
それほど「アフロ・キューバン」がすごいのかと言われると、「そうです。私脱いでもすごいんです」と古いCMのワンフレーズを引用したくなるほど素晴らしいのだ。
特に1曲目の「アフロディジア」を聴いて頂きたい。この曲想、編曲、各プレイヤーの品のいいアドリブが聴いていて飽きさせない。
それもそのはず、1曲を除いて全てがドーハムの手によるものだからである。ドーハムと言えば一般に「ブルー・ボッサ」の作曲者として有名だが、ドーハムの書く曲はどれをとっても素晴らしい。
みなスタンダード並みの曲がずらりと並ぶ。「蓮の花」、「ジャズ・クラシック」、「ブルー・スプリング」など挙げたらきりがない。
ドーハムを生かすも殺すも聴く側の受け止め方次第である。ドーハムを聴かずしてジャズ人生を送るのか否か。初心者にはぜひ「アフロ・キューバン」を聴いていただきたい。