「ジャズの歴史」カテゴリーアーカイブ

忘れちゃいけないエロール・ガーナー

ビ・バップとは全然縁はないが、独自のビハインド・ビートで一般大衆が好んで聴くのが、エロール・ガーナーその人である。

マニアックなファンの人達はガーナーなど聴かないだろうと、ひとりよがりではあるが、そう思ってしまうからしょうがない。

ガーナーと言えば〈ミスティー〉の作曲者と言うイメージが強いが、僕としては、あの英語の授業前に唄う〈ユー・アー・マイ・サンシャイン〉をジャズにして奏でた人と言う印象のほうが強い。

あの〈ユー・アー・マイ・サンシャイン〉が、こうなるか普通と、飛び上がってしまうくらいビックリする。

それもコード、テンポがおおよそ離れたところにあったら話は別だが、そのままの〈ユー・アー・マイ・サンシャイン〉なのだ。聴いたことがない方はぜ一聴願いたい。 続きを読む 忘れちゃいけないエロール・ガーナー

レニー・トリスタートを聴いてはみたが

レニー・トリスターノ。とっつきにくい人である。トリスターノもまたビ・バップとは縁のない人である。

1946年キーノートレーベルの吹き込みは、歴史的に見てもそっぽを向かれるアルバムだ。

しかしこの時期のトリスターノは既に、自分の音楽的論理に基づく、左手の和音に、そぐわない右手のメロディーライン。

不思議な音だ。そしてこのトリオは既にインター・プレイを繰り広げている。ギターとピアノの絡み具合は絶妙である。

セロニアス・モンクのようなあきらかな不協和音は使わない。ギターとの関係を重要視しているのが分かる。 続きを読む レニー・トリスタートを聴いてはみたが

リー・コニッツ的クール

リー・コニッツは元々がクールな音だ。スタン・ゲッツのようにスタイルで音を変えていくような人ではない。

コニッツの「サブコンシャス・リー」はプレステージ第一弾を飾るアルバムとなった。

このアルバムのすごいところは、音に表情が全くなく、機械的な演奏に徹底して従事している。クール・ジャズとはその構成、編曲に重きを置く。

特にレニー・トリスターノがピアノで参加した1~5番はみなぎるような緊張感である。この冷蔵庫に物を詰めていくような作業の何が楽しいのか理解に苦しむ。

トリスターノが抜けた6番の〈マシュマロウ〉はどうだ。盟友ウォーン・マーシュとの息はピッタリだ。アドリブもなぜか耳に心地よい。 続きを読む リー・コニッツ的クール

スタン・ゲッツ的クール

クールの先駆けとなったのは、ウディ・ハーマンのセカンド・ハードの〈アーリー・オータム〉でののソロが始まりとされている。

1947年のことだ。ゲッツがクールを編みだした訳ではないが、クールを決定付けたのはゲッツであることに間違いはない。

ゲッツと言う男が、いかに流行を先取って、演奏スタイルを変えてきたかが後々のアルバムを聴けば分かることだが、それらを踏まえてゲッツと言う男の文豪ぶりが伺える。

確かに1950年プレステージレーベルから発売された「スタン・ゲッツ・カルテット」は名盤である。

しかし初心者が聴いて果たしてこのアルバムの良さが分かるかは疑問だが、ゲッツ・ファンのリスナーにはかけがいのない1枚と言ってもいいだろう。 続きを読む スタン・ゲッツ的クール