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ジャズ初心者にはピアノ・トリオ05

ファンキーの代名詞とも言えるウイントン・ケリーの「ケリー・ブルー」。

冒頭のポール・チェンバースのベースを弾く(はじく)音が印象的だ。その4小節が終わると、テーマに入る。

このテーマがファンキーなフレーズの連続で、ソニー・クラークのようなスマートさはないが、泥臭にまみれた作業衣を洗濯したようなさっぱり感があるのが特徴だ。

「ケリー・ブルー」は小コンボによる演奏で、ピアノ・トリオではないが、「ケリー・ブルー」のアルバムそのものは、ピアノ・トリオ中心に入っている。

1曲目が印象的なために、2曲目のピアノ・トリオによる「朝日のようにさわやかに」が際立たないのが残念であるが、それだけ「ケリー・ブルー」の演奏がすごすぎるのだ。 続きを読む ジャズ初心者にはピアノ・トリオ05

ジャズ初心者にはピアノ・トリオ04

ジャズ・ピアノにリリシズムを持ち込んだのはビル・エヴァンスだが、そのエヴァンスに深く感銘を受け、自らのスタイルを築き上げたのが、スティーブ・キューンである。

キューンのピアノの特徴は、品のよさと白人らしいクールさにある。バックをドラムのピート・ラ・ロカ、ベースのスティーブ・スワロウが、ガッチリ固めている。

このトリオのよさはキューンのピアノのセンスもさることながら、ピート・ラ・ロカのドラミングの大胆さにある。

特にシンバルワークに長け(たけ)60年代を代表するドラマーの1人でもある。

1966年録音の「スティーブ・キューン・トリオ」をここでは紹介したい。1曲目の「アイダ・ルピノ」は冒頭にポール・へインの詩を、キューンが口ずさみテーマに入る。 続きを読む ジャズ初心者にはピアノ・トリオ04

ジャズ初心者にはピアノ・トリオ03

レス・マッキャンと言うピアノ弾きがいる。ウェスト・コースト・ジャズの流行からだいぶ後(のち)になるが、名門レーベル、パシフィックの社長も勤めたこともあり、パシフィックレーベルからたくさんのアルバムが発売されている。

ピアノスタイルはソウルである。「レス・マッキャン・イン・サンフランシスコ」と言うライブ音源のアルバムがある。

1曲目から乗りのいいマッキャンのピアノが響く。聴いているだけで自然と身体が揺れてくるのが分かる。

初心者には4番の「アイ・アム・イン・ラヴ」をぜひ聴いていただきたい。コール・ポーターの手によるものだが、とてもロマンチックで乗りがいい。

コール・ポーターはアメリカの作曲家で数々のミュージカル音楽を手掛けてきた、いわばアメリカンスタンダードの代表格だ。 続きを読む ジャズ初心者にはピアノ・トリオ03

ジャズ初心者にはピアノ・トリオ02

ピアノ・トリオにハズレはないとよく言われるが、そんなことはない。ハズレはどのスタイルにも必ずあるもので、ピアノ・トリオも例外ではない。しかし多少ではあるがピアノ・トリオは初心者にとっては聴きやすいものではないだろうか。

オスカー・ピーターソンの人気盤「プリーズ・リクエスト」は実に分かりやすく、聴きやすい。1964年の録音でボサノバの曲も取り入れたりと、このあたりは当時のアルバムとしては当たり前のことである。

コレクターは後半の8,9,10番を重視して聴くのが正しい「プリーズ・リクエスト」の聴き方である。初心者には理解しがたいかもしれないが、何年かジャズを聴いていくうちに、必ず理解できる時がくると断言しておきたい。

ピーターソンを聴かないのがジャズ通などと一昔前まで言われていたが、ピーターソンほどエンターテーメントなジャズメンも珍しい。

マニア受けはしないが、ジャズ・ファン以外でもピータそんならと、レコードに手を伸ばす人が多いのだろう。「プリーズ・リクエスト」は、その際たるもので一般大衆にもっとも受け入れられた1枚である。 続きを読む ジャズ初心者にはピアノ・トリオ02

ジャズ初心者にはピアノ・トリオ01

これまでトランペッターの話しをしてきたが、それはモダン・ジャズにおいて、トランペットが重要な役割を果たしているからだ。

モダン・ジャズの時代に入ると、そのスタイルはトゥーホーンを基本としたものになる。メインにトランペット、サクッスが立つ。バックにピアノ・トリオを従えた、クインテット編成が一般的なスタイルだ。

チャーリー・パーカーは話は別だが、ディジー・ガレスピー、ハワード・マギー・ファッツ・ナバロなどトランペッターのリーダー作は多い。色々なトランペッターを聴くことで、ジャズと言うものがおぼろげながらも見えてくるはずである。

今まで挙げたトランペッターがリーダー作のアルバムは、わりあいに聴きやすいものを選んだ。しかし初心者には難しい部分もあるかもしれない。

好奇心旺盛な方なら僕が挙げたアルバムから入門してもいいだろう。しかし無難にジャズを聴きたい方には、ピアノ・トリオをお薦めしよう。 続きを読む ジャズ初心者にはピアノ・トリオ01