Categories: ジャズの名盤

オール・イン・グット・タイム

ドン・スカレッタと言うピアノ弾きをご存知である方は少ないだろう。僕もあるレコードショップでたまたま目にして購入したのだが、聴いて失敗したと思った。

いつもの如くCD棚の奥いきである。ある日、偶然手に取った本作品を改めて聴き返してみると、今までの下品なラムゼイ・ルイス風ピアノがなんと上品に聴こえるではないか。

だからジャズはやめられない。1曲目の「エクソダス」のスリリングさと言ったら、ラムゼイ・ルイスの二番煎じと証した自分が恥ずかしくなる。

そして2曲目の「ユーア・マイ・ガール」のプレイには聴き入るばかりである。ピアノのタッチは、さほど強くはないが、それがかえってスカレッタの個性に繋がっている。

5曲目の「シークレット・ラヴ」はテーマの入り方がいい。左手を使わずに右手だけでメロディーを奏でる。

故にアドリブの部分が余計に引き立つ構成だ。ファンキーとはソニー・クラークのように、そこはかとなく漂わせるぐらいがいいと思っていたが、スカレッタの派手すぎる演奏も悪くない。

スカレッタにはどこか気品のようなものが漂っている。佳作ではあるが名盤と言ってもいい出来栄えで、入門書には絶対に載らない奇跡的1枚である。

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