「スタディー・イン・ブラウン」と言う名盤中の名盤がある。初心者にはとにかく1曲目の「チェロキー」を聴いていただきたい。
これぞハードバップの見本的演奏だ。「チェロキー」をここまで高みに上げたのは、クリフォード・ブラウンその人である。
ブラウンは1年前とは全く異なった演奏を聴かせてくれる。ハードでありながらメロディアスなのだ。こんな芸をこなせるのは、今をおいても、ブラウン以外にはいない。
テナーサックスのハロルド・ランドの開演も花を添える。「チェロキー」と言えばクリフォード・ブラウン。クリフォード・ブラウンと言えば「チェロキー」なのである。
これはまさしく僕の独断と偏見と言えよう。しかしながらそう思っているコレクターの方もわりと多くいるのではないだろうか。
ブラウンの演奏の特徴は先に述べたが、天才としか言いようがない。メロディアスなフレーズが次から次へと飛び出してくる。まさに「ブラウンに学べ」である。
トランペットの音色、テクニック、どれをとっても悪い所がない。いわゆる優等生タイプだ。逆にブラウン亡き後、颯爽と登場したリー・モーガンはヤンチャな不良タイプである。フレーズもふてぶてしく堂々としている。
モーガンのファンキーなトランペットは、優等生のブラウンに比べ、人間味がある。しかしそれほどの技量を持ちながらも、ブラウンを超えることは出来ないのだ。