「ジャズの名盤」カテゴリーアーカイブ

ジェリコの戦い

コールマン・ホーキンス晩年の名作である。ライブ録音の割には音はクリアである。

ホーキンスの進化し続ける姿勢がカッコいい。スイング・テナーを吹かせたら、バッパー達もいちころもないだろう。

1曲目「オール・ザ・シングス・ユー・アー」の吹きっぷりはどうだ。音のぶっとさは、ソニー・ロリンズもかなわないかもしれない。

そして問題が2曲目の「ジェリコの戦い」である。

軽快なリズムに乗ってテナーを鳴らすホーキンス、テナーがテーマを奏で終えたあとの、雄たけびにも似たホーキンスの音は、ジョン・コルトレーンをしっかり視野にいれている。 続きを読む ジェリコの戦い

ピーシス・オブ・シルヴァー

ホレス・シルヴァーのピアノはいたってシンプルであり、そのバッキングの良さにも定評がある。また作曲にも長け(たけ)本作の「セニョール・ブルース」は有名である。

シルヴァーと言えば初代ジャズ・メッセンジャーズのピアニストとしても名を残しているが、どちらかと言えば、ファンキーの名手としての方が親しみがあるだろう。

本アルバムもほとんどがシルヴァーの自作によるものである。

フロントにドナルド・バード(tp)ハンク・モブレー(ts)とブルーノートお馴染みの顔だ。シルヴァーはブルーノート初リーダー作であり、相当のプレッシャーがあったに違いない。

シルヴァーはスタン・ゲッツによってみいだされ、1950年録音の「ルースト・セッション」に参加している。 続きを読む ピーシス・オブ・シルヴァー

ストレート・アヘッド

JRモンテローズは現在、生存しているのかさえ分からぬほど、放浪に暮れた生涯だった。1959年録音の本作はブルーノート盤に並び名盤であることに間違いはない。

何故、モンテローズは一処(ひとどころ)に落ち着かずに、クラブを転々と渡り歩いたのだろう。

モンテローズの名前を知らしめたのが、チャールス・ミンガスの【直立猿人】でのプレイである。

独特の奏法でレガート・プレイではなく、スタッカート的スタイルのインプロビゼーションを得意とする。本作の表題「ストレート・アヘッド」が1曲目に登場する。

ピート・ラロカ(ds)とのフォーバス、トゥーバス、ワンバスはこのアルバムのハイライトでもあり白熱したプレイが聴かれる。 続きを読む ストレート・アヘッド

バラード

言わずと知れたジョン・コルトレーンの名盤である。ジャズファンでこのアルバムを所有していない人は皆無に近いだろう。

何故ならあの甲高いテナーが、低く落ち着いているからだ。

コルトレーン・ファンは、コルトレーンを嫌う理由が分からないだろうが、そういつも「マイ・フェバリット・シングス」ばかりでは、つまらないではないか。

そう言ってしまえば語弊があるかもしれないが、いわゆるフリー・ジャズなるものが僕には理解できない。絵画で言えばピカソのように分からない。

しかし本作は安心して聴くことができる。全面バラードで初心者にはきついかもしれないが、いつかこの良さを理解できる時が必ず来るだろう。 続きを読む バラード