言わずと知れたジョン・コルトレーンの名盤である。ジャズファンでこのアルバムを所有していない人は皆無に近いだろう。
何故ならあの甲高いテナーが、低く落ち着いているからだ。
コルトレーン・ファンは、コルトレーンを嫌う理由が分からないだろうが、そういつも「マイ・フェバリット・シングス」ばかりでは、つまらないではないか。
そう言ってしまえば語弊があるかもしれないが、いわゆるフリー・ジャズなるものが僕には理解できない。絵画で言えばピカソのように分からない。
しかし本作は安心して聴くことができる。全面バラードで初心者にはきついかもしれないが、いつかこの良さを理解できる時が必ず来るだろう。
僕的には「アイ・ウィッシュ・アイ・ニュー」がこのアルバムのベスト・プレイだと思うが、皆さんはどう感じ取っているのだろうか。
いつもデロデロとした音でお化けが出て来そうな吹奏をするコルトレーンも、実はこれが真の姿ではないかと疑ってしまうほどのベスト・プレイである。
この時期マウスピースの調子が悪いとのことで流布されているが、コルトレーンは見事にバラードを歌い上げているではないか。